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アイマス1時間SS 「梅雨に関する処々諸々」

今週も今週とて参加。
使用テーマは「梅雨」。
久々に765プロメンバーのお話に帰ってきました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「暇だねー。」

そう呟いたのは春香だった。
そんな春香に苦笑交じりに答えたのは隣に座っていた真だった。

「仕方ないよ。だって、これじゃあ……ねぇ?」

窓の外に目を向ける。
事務所の外に広がる光景はどんよりとした鼠色の雲とそこから振ってくる雨粒しかなかった。



梅雨に関する処々諸々




その日の事務所には珍しく765プロ所属の全員が集まっていた。
それもその筈、本来の今日の予定は765プロ所属アイドル全員で行うイベントだったのだ。
ところが、蓋を開けてみれば生憎の空模様。
更には最近流行のゲリラ豪雨となり、不安定な天候に考慮してイベントは中止となってしまった。
ところが、ファンのことも考えて決断をギリギリまで引き延ばした結果、結局事務所に全員が揃ったまま行く先がなくってしまったのだ。
豪雨は未だに降り止む気配はない。それほど長い時間にはならないだろうが、雨模様はまだ帰るのに適したタイミングとは言い難い状態だった。
事務所に居てもやることはない。移動することもできない。ましてや、イベントの為と意気込んできたアイドル達からすれば、春香から漏れた呟きを咎める者など居る筈もなかった。



「もー!なんでこんな時期が日本にはあるのー!」

「そーだよ!ジメジメして暗くて、幾ら真美達が今を時めくアイドルでもテンションダダ下がりだよー!」

春香の呟きが数分後。
案の定、沈黙を破って不平不満を口にし始めたのは亜美と真美だった。
暫くはゲームに興じていた二人だったが、ゲームに飽きたのか、雨の音が耳障りだったのか。湿度の高い空気が不快だったのかもしれない。
画面から目を離すと堪え様がないといった様子で騒ぎ始めた。

「こーら、二人とも騒がないの。とはいえ、二人の気持ちもわかるけどね。
 特にジメジメした空気が嫌なのはよくわかるわ。スーツを着るようになると特に大変なのよ。」

そんな二人を宥めるのはこれまた案の定というべきか、書類仕事をこなしていた律子だった。
休憩するつもりだったのだろうか、コーヒーの入ったマグカップを手に近くに来ると二人に笑いかける。
言っていることこそ注意を促す内容ではあったが、言葉ほど咎める気はないのが表情と口調から読み取れた。

「まぁ、確かにこの時期って色々困るよな。
 自分はペットいっぱい飼ってるから、雨に降られると散歩するのも一苦労だぞ。」

そんな律子の言葉を引き継いだのはハム蔵に餌をやってる最中の響だった。
その表情は心底うんざりしたという表情で、苦労の程が読み取れるといったものだった。

「うーん、私もちょっと困るかなぁ。ここまで2時間かかるから傘があるのとないのって結構大きいしね。
 ……何より、転んだ時の被害がもう完全に別物だよ。」

そう言って遠い目をするのは春香。
普段よく転ぶ彼女からすれば、路面の状態はまさに死活問題だろう。
そして、女の子の間でここまで話が繋がればあとは広がってゆくばかりだった。

「ねぇ、千早ちゃんはどう?雨って好き?嫌い?」

「え?私?」

自分に話を振られるとは思っていなかった千早が目を丸くする。
だが、律儀な千早はただの世間話であるのに考える素振りを見せた後、言葉を選ぶようにして話し始める。

「……そうね。空気が乾燥してないから喉に負担が掛からないという意味では嫌いではないわね。
 ただ、こう雨が続かれると一人暮らししている身としては洗濯物への対処は困るわ。」

「あー!それ、わかります!」

千早の言葉に反応したのはやよいだった。
伊織とオセロで遊んでいたやよいは千早に目を向き直ると少し眉を下げた。

「雨の日ってお日様が差さないから、洗濯物干せなくて困っちゃいますよね。
 うち、家族がいっぱいいるから一日分だけでも結構な量で……。
 でも、乾燥機使っちゃうのはなんだか勿体ないし。」

「私も雨は嫌いよ。」

そういうのはやよいの対面に座る伊織。
パチンと軽快な音を立ててオセロをひっくり返した後、やよいの手番を待つ間の暇潰しに会話に加わる。

「移動に関して車があるから困らないけど、泥が跳ねるようになるのは問題よね。
 お気に入りの服や靴が汚れるのよ。」

「実にデコちゃんらしいの。」

「……うるさいわね。っていうか、デコちゃん言うな!」

さっきまで伊織の横で眠っていた美希が寝惚け眼を擦りながら感想を言う。
それに伊織はいつもの如く怒るが、それのは構わずいつも通りのマイペースを保ったまま欠伸を一つ漏らす。

「……あふぅ。ミキもあんまり梅雨って好きじゃないな。
 ジメジメした暑い空気のせいで寝つきが悪くなるの。」

「さっき、イベントが中止になったって聞いた途端にすぐソファー占領して寝てた気がするのだけど……。」

未だ眠そうなままの美希にあずさが苦笑を返す。

「そんなことないよ。普段ならソファーに寝転んで3秒で寝られるところが、今日は5秒かかったの。
 2秒も睡眠時間が短くなるなんて大変なことだってミキ思うな。」

「あら~?殆ど変わってない気がするわ~。」

「細かいことはどうでもいいの!それよりあずさは?」

それ以上の追求を逃れる為なのか、本当に興味があるのか。
美希の質問があずさに飛ぶ。
現在、殆ど全員の共通の話題だ。特に乗らない理由はない。

「そうねぇ。季節としては好きよ。六月は花嫁の季節だもの。
 ただ、雨はやっぱり困りものかしら。迷子になっちゃうとその分濡れちゃうものね~。」

いくつか思い当たる節があり、全員が苦笑する。
あずさを探しに行く際、雨が降っているといつも以上に困ったことになるのは経験済みだった。
そんな空気を当の本人はいざ知らず、話は更に次に振られる。

「真ちゃんはどう?梅雨は好き?嫌い?」

少女漫画の雑誌を読んでいた真があずさに目を向ける。
真はそうですね、と顎に手をやって考えた後、すぐに答えを出した。

「ボクもあんまり梅雨は好きじゃないですかね。雨のせいで出来るスポーツが限られちゃうのがちょっと。
 思う存分体を動かせないのはやっぱりちょっと辛いです。」

「ふふっ、真ちゃんらしいね。」

そう言って笑ったのは真の隣で別の雑誌を読んでいる雪歩だった。
そんな雪歩にはまだ聞いてないことに気づいて、今度は真が質問する側になる。

「雪歩はどう?梅雨はやっぱり嫌い?」

今までの話も概ね否定的な意見が多かった故の予想しての質問。
だが、返ってきたのは意外な返答だった。

「私はあんまり梅雨って嫌いじゃないよ?」

にこりと笑って雪歩はそう答えた。

「私ね、梅雨って結構好き。なんだか特別な季節な気がするから。
 雨がよく降るっていうのもそうなんだけどね、紫陽花が綺麗だったりとか、蝸牛を見つけて喜んだりとか、
 雨上がりの虹が見られて幸せな気分になれたりとかそういう梅雨だからこそのものがあるんじゃないかなって思うの。」

だからね、私は梅雨は嫌いじゃないよ、と。雪歩はそう締めくくる。
さっきまでの会話とは違う価値観に全員が驚いている中、静かに笑ったのはまだ一度も梅雨について喋っていなかった貴音だった。

「ふふっ、なんとも風流な価値観ですね。雪歩。
 四季折々、様々な季節があり、その季節毎によいところがあり、それ故に楽しむことができる。
 私は賛同致しますよ。雲に隠れた月もまた、普段とは違う趣があることに変わりはないのですから。」

そんな言葉をかけられ、雪歩は恥ずかしそうに頬を染める。
貴音と雪歩の言葉にさっきまでのメンバーは梅雨のいいところ探しを始め、そして最終的に雨音に耳を傾けることとなった。
静かになった事務所の中に絶えることのない雨音が続く。
ゆったりとした時間が流れ始め、日ごろ忙しくしている彼女達にとっては久々の穏やかな一時となった。
尤も、また誰かが切欠となりに、騒がしくなってはしまうのだが。
それが765プロという日常でもあった。
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Author:ニゴリP
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