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アイマス1時間SS 「チーズオムライス」

遅ればせながら急にティンときたので書いてみた!
オムライスの似合う彼女のお話。
使用テーマは「チーズ」。微妙に「睡眠」も入ってる……かな?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
フライパンの上に薄く切ったバターを乗せる。
温められたフライパンの上に乗せられたバターはあっという間に形をなくして広がっていく。
それと一緒にバター独特のいい匂いが事務所に広がった。

「よしっ!」

溶いていた卵を置いてフライパンに向かって1度気合を入れ直すと満遍なく卵をフライパンに流した。





チーズオムライス




きっかけは今日の仕事帰りのことだった。
5月の終わりから6月の頭にかけて行われたブライダルイベントのモデル。
その役に私を含む何人かが事務所から選ばれた。
ウェディングドレスを着る華やかな仕事だったから私自身にはそのお仕事がくる理由に心当たりはなかったのだけど、
後に聞いた話によると私を強く推したのは私のプロデューサーだったらしい。
その理由が頭の片隅に引っかかっていたのだけど、たまたまお仕事の休憩時間にそのことを質問する機会があった。

「プロデューサー、どうして私をこのイベントに推したんですか?」

「え?だって、響子ってかなり家庭的だろ?結婚に関するイベントだからさ。これは響子が行くしかないと思ったんだ。」

そう返された。
確かに家事は得意だ。独り暮らしするのに不自由ない程度にはこなせる自信がある。
ただ、一方でそんな華やかさのないことを趣味と言ってしまう自分は少しアイドルには遠いんじゃないかとも思っていた。
でも、プロデューサーはそんな私の部分も認めてくれている。それどころか、武器にさえしてしまった。
それがとても嬉しくて、こんな気持ちにしてもらったからには私のできることで何か返さなくちゃとそう思った。

「ふふっ、ありがとうございます。じゃあ、今度プロデューサーに得意の料理でご飯作ってあげますねっ!」

「ああ、ありがとう。最近、インスタントとドリンクの生活だからなぁ。そりゃあ楽しみだ。」

「えっ?」

「あ……。」

「……プロデューサー。ちょっと色々聞きますけど、正直に答えて下さいね?」

きっと、その時の私は笑ってはいたけど、かなり怖い顔だったんだろう。
まともに私と目を合わせないで質問に答えつつ、失言を後悔しているような苦い表情をプロデューサーはずっとしていたから。



色々と聞いた結果、プロデューサーが正直信じられないくらいの生活を送っていたことが判明した。
まともに食べていないし、まともに帰っていない。下手をすればまともに寝てすらいないかもしれない。
私を今回のイベントに通す為にプロデューサーが払った代償がそれだった。
お仕事があったからその場は退いたけど、終わり次第プロデューサーを連行。事務所に飛んで帰った。
事務所のソファーに無理矢理横にさせて、間髪居れずに近所のスーパーに走った。
休んでは欲しかったけれど、その日でイベントは終了じゃなかった。
何より、まだ私は少し大きな仕事を一つこなしているだけ。有名には程遠い。
私もプロデューサーものんびりしている訳には行かないことくらいはわかっていた。
だから、手軽なものを。それでいてしっかりとお腹を満たすして力になるものを。
そう思うと私が手に取っていたのはオムライスの材料だった。



プロデューサーが寝ているソファーを後ろにフライパンの卵を見つめる。
膨らんできたら箸でつついて空気の逃げ道を作って、焦げ付かないように注意しながら火を通していく。
そうやって卵と睨めっこしていて、ふいに泣きそうになった。
今回のイベントに浮かれ過ぎていた。
その後ろにどれだけの労力が費やされているかわかってなかった。
私の為にどれだけプロデューサーが頑張っていてくれたのか知らなかった。
勿論、全部知ることなんてできないけど、それでももう少し気遣っていれば目の下の薄い隈くらいには気づけていたかもしれない。

「卵、焦がすなよ。」

そんなことを考えてると大きな手が頭の上に置かれた。
その言葉に従って無言のまま火を一番小さくする。
フライパンの上からする音が一回り小さくなった。

「……起きてたんですか?」

「バターのいい匂いがしたもんでな。久々の料理らしい匂いは腹に堪える。」

そう言ってプロデューサーは笑う。
笑ったまま私の背中に言葉を返してくれるが今は有難かった。
きっと、今の私の目は涙を溜めるので精一杯だろうから。

「……私、知りませんでした。プロデューサーが今回のイベントの為に、私の為にそんなに無理してくれてたなんて。」

「言わなかったからな。余計な心配はかけたくなかったんだよ。特にお前はそういうのが顔に出るタイプだから。
 周りのことが見えてて、色んな世話を焼けて、誰かと一緒に喜んだり悲しんだりできる。優しいんだけどさ、優し過ぎてたまに心配になる。」

そういうところも含めて家庭的っていうんだろうけどな、と言葉が続く。
そこで終わらない。少し迷うような息を何度か漏らした後、プロデューサーはこう続けた。

「けど、悪かった。次はこんな無理はしない。もし、するとしてもちゃんとお前に言うよ。
 だから、な?泣くんじゃない。明日もまだイベントはあるんだぞ。」

そして、頭の上に置いてた手をポンポンと二度上下させた。
ずるい。そんなことをされたら、目に溜めてた涙が零れてしまうに決まってるのに。

「……事前報告ですからね?」

「ああ。」

「それで、私お夜食作りにいきますから。」

「ああ、楽しみにしてる。」

「……なら、いいです。もう次は知らないなんてことにはしませんよ。」

「うん。じゃあさ、今度の夜食に備えて一つリクエスト出していい?」

そう言ってプロデューサーが私の側を離れて、冷蔵庫に向かう。
屈み込んで取り出したのは一枚の小さな正方形だった。
それを千切りながら帰ってくるとフライパンに中に全て入れてしまった。

「俺さ、オムライスにはチーズ派なんだ。」

本当に些細なことだけど、私はまた一つ新しくプロデューサーのことを知ることができた。
それが凄く嬉しく感じられて、私はすぐ笑顔になることができた。
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ジャンルは遊戯王の架空戦記とノベマスです。
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